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移籍金ビジネスモデル 2018年度(平成30年度)Jリーグ クラブ経営情報開示

2019reysol

・18年度(平成30年度)Jクラブ経営情報開示(公式
・17年度(平成29年度)Jクラブ経営情報開示(公式
・16年度(平成28年度)Jクラブ経営情報開示(公式
・15年度(平成27年度)Jクラブ経営情報開示(公式
・14年度(平成26年度)Jクラブ経営情報開示(公式
・13年度(平成25年度)Jクラブ経営情報開示(公式
・12年度(平成24年度)Jクラブ個別情報開示(公式
・11年度(平成23年度)Jクラブ個別情報開示(公式
・10年度(平成22年度)Jクラブ個別情報開示(公式
・09年度(平成21年度)Jクラブ個別情報開示(公式
・08年度(平成20年度)Jクラブ個別情報開示(公式
・07年度(平成19年度)Jクラブ個別情報開示(公式
・06年度(平成18年度)Jクラブ個別情報開示(公式
・05年度(平成17年度)Jクラブ個別情報開示(公式

2018年度のJリーグ 全クラブの個別経営情報がリリースされました。
レイソルさんは3月決算のため、毎年先行クラブが5月にリリースされてから少しヤキモキして7月の発表を待つことになっとります。

という訳で例年のように見ていきましょう。

営業収入
2018年度のレイソル営業収入は、41.50億円と2017年度の34.54億円から6.96億円の大幅増収となりました。クラブ個別に経営情報が開示された2005年以降で最大の収入を記録し、初めて40億円を突破しています。

Jクラブを営業収入の多い順でみると、神戸96.66億(52.37億)、浦和75.49億(79.7億)、鹿島73.30億(52.28億)、川崎60.74億(51.23億)、名古屋54.91億(45.94億)、G大阪51.59億(49.66億)、マリノス51.38億(47.65億)、FC東京48.44億(45.88億)、鳥栖42.57億に次ぐ10番目。昨年の13位、1昨年の15位よりジャンプアップしています。
2018年のJ1所属クラブの平均収入が47.55億円ですので、平均よりは悪い訳ですが、これは神戸さんが100億に届く金額をたたき出して平均が上振れしているからでしょう。ちょっとあそこのクラブのお金の使い方は真似できないので、、、平均は意味がないような気もします。

では、内訳をみていきます。営業収入における今年度の注目点は何が増えてV字回復したかです。
収入の内訳の推移は以下の通り。

     収入 広告 入場 配分 アカデミー その他(物販)
 J1平均 47.55 21.30 8.04 4.87 1.60 11.76(4.22)
 -------------------------
 18年度 41.50 19.68 4.49 7.08 0.25 10.00(0.67)
 17年度 34.54 19.54 5.54 4.66 0.26 4.54(0.77)
 16年度 28.74 19.29 4.35 1.85 0.30 2.95(0.61)
 15年度 30.19 19.28 5.18 1.86 0.34 3.53
 14年度 31.65 19.43 4.66 2.01 0.66 4.89
 13年度 34.12 19.47 6.46 2.04 0.71 5.44
 12年度 35.51 19.89 5.76 2.34 0.74 6.78 ※スタジアム改修
 11年度 35.43 18.78 4.96 2.30 0.74 8.65
 10年度 27.43 19.98 2.91 1.17 —- 3.37 ※J2在籍
 09年度 28.59 17.63 4.74 2.09 —- 4.13
 08年度 29.97 18.74 4.60 2.36 —- 4.27
 07年度 31.43 19.30 4.11 2.58 —- 5.44
 06年度 32.44 25.02 2.84 1.39 —- 3.19 ※J2在籍
 05年度 38.74 17.82 5.29 2.50 —- 13.13

前にも書いたかもですが、Jリーグは発表する費目を結構変えるので、比較しやすいように項目を揃えました。その他項目は、1昨年に物販収入とその他収入を分けて発表するようになりましたが、それまでは分けてなかったので、その他(物販)のような形にまとめる改変をしています。

で、レイソルでの経年変化を見てみると、増えたのはJリーグ配分金とその他売上ということが分かります。それぞれ2.4億、5.5億の増収です。

各費目ごとに見ていきます。
・スポンサー収入
こちらは、ものの見事にほとんど同じ金額が並んでいます。19億円台が10年続いています。日立グループ様のスポンサードや、三協フロンテア様がネーミングライツをしてくれている分も含まれています。結構スポンサーの増減はありますので、ネーミングライツと行って来いになってしまっているのかもしれません。

※追記※
2017年1月実施の意見交換会の議事録にこう記載があります。

30億ちょっとの売上のうち、スポンサー料が大半を占めています。30億のうち13億は日立からいただいているスポンサー料です。その他6億は日立グループが主な相手先となるスポンサーで、当然その他にも地域の中小企業さんからご支援をいただいております。

J1在籍クラブの平均は21億を超えていますが、ここには先に書いた神戸三木谷マネーが含まれちゃっているので平均が上振れしています。神戸さんのスポンサー収入は62億とかとんでもない金額となっています。スポンサー収入の2番手である名古屋さん33.45億の約2倍近い数字です。

・入場料収入
※追記※
今回発表された経営情報は2018年度になります。従って、2018年J1で戦っていた時の入場料収入と、シーズンオフに販売された2019シーズンシートの3月までの売り上げ、2019年シーズンの2月、3月の収入が対象になっているモノと思われます。金額が減っている=J2だからとはならないのでご注意を。おそらく来年発表の数字はさらに悪くなると思います。

こちらは減収です。1億円と少し減っています。18年度のホーム平均入場者は11,402人でした。2017年は11,820人、2016年は10,728人でしたので、ほとんど変わっていないのですが1億円の減となっています。
今年小学生の親になって分かったのですが、意外と小学生招待デーが催されており、去年もそうだったのかもしれません。たしか一昨年は好調なこともあって完売も多かったので、こうした招待はチケットの売れ行きによって決めているのかもしれません。小学生招待は小学生は無料、同行する親御さんは一般価格ですので、入場者数的には稼げますが、単価は落ちます。

いずれにせよ、少ないキャパの日立台を抱えているため、入場料収入の増加には、チケット代金を値上げするか、主催試合が大きく増えるしかあり得ないのです。主催試合は増えませんから、基本的には値上げするしかないわけです。10年近く同じ金額でやってること(消費税増税による値上げはあったけど)、他のクラブはダイナミックプライスとか集客を見越した値上げ(イニ○スタ値上げ)とかしてるので、シーチケ価格など含めてメスを入れても良いのかもしれませんが、今のお客さんが離反しちゃう可能性もあり難しい判断でしょう。多分そうした判断はしないと思います。

・Jリーグ配分金
17年度の4.66億円から大幅増の7.08億円となっています。
Jリーグの分配金といわゆるDAZNマネーが該当します。DAZNマネー注入後、すべてのJクラブで配分金が大きく上乗せされています。J1チームだと平均で4.87億円となっておりますが、レイソルさんは2017年に4位でしたので理念強化配分金の1.8億円が加算されているはずです。費目上その他項目かもしれないなと思いましたが、17年1位の川崎、2位の鹿島、3位のセレッソ、4位の柏とJリーグ配分金の金額が多いので、こちらの費目に加算されているものと思われます。ただ不明なのが2つあって、17年3位のセレッソさんより柏の方が金額が多いことと、1昨年より増えた金額が3億近いこと。理念強化配分金より多いんですよね。なぞだ。

ちなみに、19年はJ2に降格してしまいましたが、1年間だけはJ1並みの配分金が保証されます。J2クラブの配分金の平均は、1.68億円でした。J1とJ2の所属だけで3億円違ってきます。他のクラブと比べると収入の伸びしろが少ない柏さんは、経営の面でも今年J1に戻らないといけません。

※追記※
ゲキサカさんの過去の記事によれば、降格1シーズン目のみ前年度配分金の80%が保障されます。J1からJ2に降格した場合、J1の配分金3.5億円程度の80%、2.8億円の配分金がもらえます。J2の配分金は1.5億円です。

ゲキサカの以前の記事によると
J1上位クラブが受けることになる「理念強化配分金」は最長3年間の傾斜配分が決定。同年度の審査(※)を通過する必要があることから、支払い開始は翌年になるが、今季の1位チームには18年に10億円、19年に4億円、20年に1.5億円が渡ることになる。
また「理念強化配分金」は年間4位のチームにまで支払われ、今季の2位チームは18年に4億円、19年に2億円、20年に1億円。同3位チームには18年に2億円、19年に1.5億円で20年の配分金はない。同4位のチームは18年の1.8億円のみとなる。この比率は3年間適用される。

・その他収入
これもいつも書いますが、レイソルの営業収入は、「その他収入」に大きく依存しています。「その他収入」とはなんぞやですが、賞金と移籍金です。例えば、2005年度の13億円は初代ドゥドゥの移籍金(ドゥドゥは05年夏にレンタル先のレンヌからCSKAに完全移籍しています。)と降格時に移籍していったメンバーの移籍金が入っていると思われますし、2011年度の8.65億円は、優勝やクラブワールドカップ出場による賞金になります。

今年の売り上げ大幅増加のからくりはココです。
17年度の4.54億円から10億円(9.33億円+0.67億円)に大幅に増加しています。
柏さんの経営年度は18年4月から19年3月までですので、この間に行った移籍(出て行った方)に関する金額がココに計上されます。名前を挙げていくと、18年7月の中谷、シーズン後には、鈴木大輔、細貝萌、中山雄太、ディエゴ・オリヴェイラ、伊東純也、亀川、キムボギョン、ユンソギョンが移籍していきました。

この中で報道を見る限りでは、中谷、中山は移籍金が取れているとありましたのでそうなのでしょう。あと地味にありそうなのが、鈴木大輔と亀川、細貝。加入半年と1年、2年足らずで完全移籍で出て行ったので移籍金が取れている可能性が高いかもしれません。ディエゴや秋野はおそらくレイソルとの契約を満了したうえでのレンタル→完全移籍のような気がします。ひょっとするとディエゴはレイソルと長期契約結んでた可能性もありますが。
柏の場合物販の数字は微々たるもの。18年は降格した順位でしたので、ほぼ移籍金となります。あ、ルヴァンの準決勝までいった賞金があったかも。

※追記※
2020年1月実施のイエローハウスの議事録にこう記載があります。

グッズについては、企画、仕入、販売の一連を加茂商事さんへ委託しております。開示されている金額が全ての売上高という訳ではございませんので、他クラブと比較して突出して少ないという訳ではありません。商品化事業をアウトソーシングをすることで、在庫高や販売にかかる諸経費を大きく削減しております。

こちらは、Jリーグの個別経営情報にも、
「物販収入」および「物販関連費」は、代理店に委託販売しているケース等もあることから、取扱い高総額でのクラブ間比較はできない。
と記載があるのですが、数字だけ見て比較する人が多いので追記しておきます。
営業収入と主要な収入内訳をグラフにしています。

営業費用
支出の方ですが、こちらも大きく増えています。17年度34.40億円から大幅増の41.28億円の支出です。16年度28.30億円から比べるとこの2年で13億も使ってます。諸経費で多少増えているところもありますが、大きく増えているのはチーム人件費になります。

    営業費用 試合経 T運営 A運営 T人件 販管費
 J1平均 46.11 3.29 3.70 1.36 22.75 14.92
 -------------------------
 18年度 41.28 1.35 3.14 0.37 28.06 8.36
 17年度 34.40 1.58 1.83 0.33 23.08 7.58
 16年度 28.30 1.32 1.80 0.39 17.53 7.26
 15年度 30.83 1.67 2.32 0.40 18.88 7.56
 14年度 31.95 1.38 2.09 0.39 20.59 7.50
 13年度 33.80 1.98 2.66 0.40 21.18 7.58
 12年度 35.27 1.74 2.25 0.38 20.47 10.43
 11年度 33.91 1.53 2.68 0.36 19.19 10.15
 10年度 26.98   (7.24)   14.85 4.89 ※J2
 09年度 29.30   (8.32)   15.80 5.18
 08年度 30.48   (8.43)   16.94 5.11
 07年度 31.05   (9.48)   16.93 4.64
 06年度 34.62   (8.60)   21.88 4.14 ※J2
 05年度 38.58   (N.A)   (N.A) 4.60
※11年度以前は試合経費、チーム運営費経費、アカデミー運営費の内訳が発表されていません。
※販管費は17年に費目が分かれたので、販売費および一般管理費と物販関連費の合計値です。

グラフだとこんな感じです。


構成要素で大きな割合を占めるチーム人件費は、17年度23.08億円から5億円近い増額の28.06億円となりました。1試合で8人もアカデミー卒を先発で使っていた16年の下平期と比べると10億円以上増額されています。
ちなみにJ1 18チームで見てみると神戸44.77億、鹿島31.57億、浦和31.08億、名古屋28.23億に次いで5番目に多い数字です。フェルナンド・トーレスがいる鳥栖さんよりも多くなっています。

レイソルは3月決算ですので、今期の28億は、18年4月から19年3月までの移籍加入が加わっているものと思われます。期間中にあった主な動きとしては、昨シーズン中のオルンガ、鈴木大輔(無所属だったから掛かってない?)、ナタン・ヒベイロ、高木。シーズン終了後のネルシーニョ監督+スタッフ招聘、ガブリエル、ヒシャルジソン、染谷さん、菊池さん、高橋峻希さん、村田さんあたりまで入っています。

最近加入のジュニオール・サントスとマテウス・サヴィオは今年度なので来期発表分ですね。
支出全体におけるチーム人件費の割合は、67.97%と17年度の67.09%よりさらに上がってしまいました。全体の支出に占める人件費の割合が多いのは、そういう戦略だそうなのですが、ちょっとマズイラインまで来ているような気がします。

あとは、気になる箇所としてはチーム運営費が増額になっていること。この費目は試合を開催/運営する経費です。具体的に何かというところまでは分かりませんが、この金額が増額となっています。
また、販管費もやや増えています。

今年J1に戻らないと
昨年、自分はこんな風に書きました。

DAZNマネーもあること。ACLもあることで、17シーズンから18シーズンにかけてレイソルはかなり勝負をしたのではないかと推測します。それくらい一気に人件費が増えています。惜しむらくはその結果が今のところほぼ出ていないことでしょうか。計画通りの絵に描いた結果が出ていればDAZNマネーも獲得でき、ほっと一息つけたのではないかと。そんな風に推測しました。

ですが、結果的にこれが大失敗に終わりました。降格してしまいましたから。
今年はさらに勝負に出ました。お金がかかるネルシーニョを再招聘したわけです。なりふり構ってはいられなかった半面、ある程度移籍金の目安もついていたんじゃないかと思います。
ただ、支出のグラフを見てもらえれば分かりますが、第1期ネルシーニョ監督期は毎年毎年チーム人件費が増えていく傾向にありました。結果も出なくなった。ちょっとお金を使う体制から変更しようということで吉田達磨さんにバトンタッチするも1年で頓挫。メンデスを挟んで下平さんにお金を掛けないやり方に移行するミッションを託し、16年度には17億台まで削減に成功しましたが、そこからの迷走で爆発的に支出が増えてしまっています。
今年復帰できなかった時は結構本気で怖いことが起こりそうです。
考えたくもないので書きませんが。

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